いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

エンジニアライフでの生き残り方

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■かつての編集者は言った。ここは野生の動物園だと

 最近、新しいコラムニストの方が増えた。これからどのように活躍していくか楽しみだ。エンジニアライフというのは、ネット世界の亜空間だ。書けば普通にブログ書くより遥かに多くの人が見てくれる。コラムニストには応募資格を満たせば誰でも挑戦できる。大事なのは「分かりやすい文章が書けること」と「伝えるべき“何か”を持っているかどうか」だ。

 ただ、普通に書いても多くの人に見てもらえるかわりに、様々な偏見も満ち溢れている。未だにコラムニストがお金もらって記事書いていると思っている人がいる。そんな誤解に基づいた妬みを向けられることがある。また、「お前のコラムを読んでやってるんだ」的なスタンスの人も多い。

 エンジニアライフには自由がある。お金を貰って書いてる訳ではないので、好きなことが言える。何度失敗しても再起できる。炎上ギリギリのラインで冒険ができる。正に野生の動物園と言うにふさわしいところだ。

 好きなことを言える分、コメントでカウンターがよく来る。対策が不十分だと簡単に心がへし折られる。そんな動物園で生き残るための具体的な手段を講じていきたいと思う。

■ネタの確保

 コラムニストにとって、ネタは餌と同じだ。確保できなければ飢えてコラムが書けなくなる。また、貧相な餌しか得られずに栄養不足なコラムを書くと、コメント欄に巣食う野獣たちの餌食になってしまう。

 まず、自分にどんな記事が書けるかを知ろう。記事といえば、@ITやねとらぼに掲載されるようなものを思い浮かべるかもしれない。だが、コラムニストにはああいう記事は書けないと思ったほうがいい。

 まず、ネタの確保に使えるリソースの規模が違う。コラムニストには取材のための予算は出ないし、組織的なネタの確保が困難だ。ネタは個人の手で集めなければならない。また、本業をしていて空いた時間に書くことになるので、使える時間の桁も違う。ネットの情報をネタにしても二番煎じになって新鮮味に欠けてしまう。

 コラムを書く上で頼りになるのは、己の発想だ。自分の頭で考えた自分の言葉。それがコラムで使えるネタだ。時には誰かさんの発した一言、それしかネタが無いこともある。それでも必死(という程でもないが)に考えて言葉を絞り出す。それがコラムの書き方だ。

■発想の起点

 凡人が平凡な経験に基づいて、平凡な発想でコラムを書いたとしよう。そんなコラムに面白みがあるだろうか?たぶん、コラムとして成り立たない。読んでいて何も面白みを感じることは無いと思う。コラムとして成り立たせるには、どこかに非凡な要素が必要になる。

 ただ、凡人を超えるより、非凡な経験を求めるより、一番手っ取り早いのが非凡な発想を手に入れることだ。発想は思考の原点だ。変えられれば見える世界が変わる。そこで、どう発想を変えていけばコラムニストとしてネタに困らなくなるか、具体的な話をしていく。

 例えばここに、Aという考え方があったとする。一般的な人は、「Yes」か「No」でしか考えない。答の真偽を問うにしても、自分の所属する会社や友達等、狭い範囲の多数決を基準にすることが多い。これが一般的な人の思考パターンだ。

 もしあなたが凡人なら、Aという考え方に対する一般的な答は簡単にわかるはずだ。なので、逆の答で正当性を追求してみるのだ。そうすると、簡単に新しい観点を得ることができる。

 「Yes」と「No」の両方に対して観点が持てるようになると、細かい条件分けができるようになる。何々の場合は「Yes」、何々の場合は「No」と、思考に幅が出てくる。ここまでくると、クソコメ(相手の欠点を指摘して得意になりたいだけのコメント)に対して迷わず対応できるようになる。

 さらに訓練されると、「Yes」と「No」の範囲を超えて、Aという考え方に対してA'を出せるようになる。ここまでくると、飛躍的に発想が自由になる。コラムのネタで困ることは無くなり、クソコメをギャグとして楽しめるようになる。

■たかがコラムと思うなかれ

 なぜこのネタで一本コラムを書いたかというと、コラムを書く時に鍛えた能力が仕事や生活でも役に立つからだ。

 自分のできる範囲を的確に理解する、少ないリソースでの結果の出し方、「Yes」、「No」に縛られない発想力。どれを取ってもエンジニアとして価値ある能力ではないだろうか。コラムを書くのであれば、こういう能力を身につけられるまで書き続けて欲しい。

 コラムを書くなら何かを得て頂きたい。クソコメに負けないロジカルな強さを身につけて欲しい。たかがコラムと思うなかれ。書き続けて得られるものはある。新しいコラムニストの方々のこれからの活躍を願う。

--追記--

過去のコラムを読み返してみると、同じネタで書かれたコラムが多数ある。そちらも参考にしてみるといいと思う。

ちなみに、「○周年」のタイトルでコラムを書くと、エンジニアライフを司る女神から応援のコメントが付くという都市伝説がある。今度私も「○周年」のタイトルでコラムを書いて試してみようと思う。

Comment(3)

コメント

新聞記者ですらネタに飢えて、記事をでっちあげるみたいなことを聞きますし、ネタ探しは大変だと思います。
読み手としては、そのネタが嘘か真かを見極めるスキル(リテラシー)が必要なんだと思いつつ、毎度楽しみに読まして頂いています。

abekkan

このテーマは面白いですね。私も書いてみようかな。(^^)

Anubis

> ほ さん
>新聞記者ですらネタに飢えて、記事をでっちあげるみたいなことを聞きますし、ネタ探しは大変だと思います。

ご愛読ありがとうございます。

実は、裏を取る必要があるような情報をコラムでほとんど扱っていない。
情報でなく、あくまで「私はこう思う」を主題に書いている。

コラムの賞味期限は短い。裏をとっていると本数が書けないし、
そういうタイプの記事は@ITの記事とかぶる。
書こうと思えば書けるが、裏を取る工数が膨大にかかるので疲弊する。
あのクオリティはコラムニスト一人でジブ現するのは相当難しい。

@ITの記事を書いてる方、本当に尊敬しますね。

> abekkan さん
よくみたら、同じようなネタで十分通じるコラム書いてますやん。
http://el.jibun.atmarkit.co.jp/abekkan/2013/05/-1-4d26.html

他のコラムニストさんも結構このネタで書いてます。
というのを、
「newziaコネクトによると、以下の記事が関係あるようです」
を見て気づいた。

ただ、同じネタで書いてみると、当時と違ったものが出てきて
発見があるかもしれませんね。

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