いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

「派遣はかわいそう」の意識をあらためてほしいよね

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◾︎エンジニアライフの編集者さんのつぶやき

 先日、@IT自分戦略研究所 のTwitterアカウントでこう呟かれていた。

@IT自分戦略研究所@atmkit_jibun 23時間23時間前

FYI|お偉いさんには、いま自分研に掲載している時給6500円の女性エンジニアとか見て「派遣はかわいそう」の意識をあらためてほしいよね。あと、記事とは関係ないけれど、ヒマ(そうに見える)人ほど電話に出ないのは、なぜなんでしょうね... http://fb.me/1OM5MU0Qk 

ちなみに、ヒマ(そうに見える)人ほど電話に出ないのではないのではなく、電話に出ないからヒマそうに見えるのではないだろうか。

 このツイートには二つ、想像を膨らませるポイントがある。時給6500円と女性エンジニアだ。時給6500円は高い。単純計算すると、年収一千万円を超える。しかも、IT業界では少数派の女性だ。かなりインパクトはある。

◾︎派遣はかわいそうか?

 私の立場から見て、正社員は精神的な自由が無い。派遣や契約社員を選ぶことが多いからそう思うのかもしれない。正社員になると会社の拘束力が強い。会社が「Yes」と言うなら、自分も「Yes」と言わなくてはいけない。これを繰り返していると、気づかない内に発想力や思考力が萎縮する。これはエンジニアとしては致命的だ。そういう側面を見ると、むしろ正社員の方がかわいそうだ。・・・まぁ、所属する会社によって大きく変わるとは思うが。

 実のところ、派遣社員にもメリットは多い。世間一般には正社員のメリットばかり説かれて、正社員が正義のような風潮がある。良いか悪いかはそれぞれの判断に任せるとして、社員という考え方は古い。年配者ほど正社員という考え方を支持するのもそのためだと思う。

 つまり、派遣社員にメリットが無いのではなく、メリットが認知されていないという方が正しい。既存の社会的な仕組みは、正社員を前提にして構成されているので、派遣社員でメリットを受けようと思えば発想の転換が必要になる。

◾︎派遣のメリット

 派遣とはフリーランスの一つの形だと考えている。税金処理と営業が面倒なので、私も派遣を利用して働くことが多い。残業代は確実に払われるし、問題が起 きた時は営業が手助けになってくれる。自分は技術のことを集中して考えることができる。ピンハネされるのがイヤなら、派遣の担当者を徹底的に活用しよう。 元はキッチリ取れる。

 派遣のメリットを享受するために、必ず押さえておくべきポイントがいくつかある。失業保険の知識、一人での過ごし方、金のかからない生き方。これらを押さえることで、給料が安い、雇用が不安定という派遣のデメリットを軽減できる。

 デメリットを軽減すればメリットが見えてくる。派遣にメリットを感じている人は、社会的には少数派だ。ニュースを見ても派遣は社員のワンランク下扱いだし、親の世代は正社員じゃないと不安を感じる。周りに流されるとネガティブな情報しか入ってこない。少数派である以上、自分の考え方は自分で切り開くしかない。

◾︎自分の立場をどう活かすか

 派遣に不安を感じるのは、派遣にメリットを感じる人が少数派だからではないだろうか。みんなが正社員が良いと言っている中、「いや、派遣の方が良い」というのは勇気がいる。だが、「一つのところに留まるより多くの経験を積んだ方が良い。」という考え方が何かのきっかけで広まれば、世の中の価値観はひっくり返ってしまう。そうなると、正社員の安定性がメリットとして通用しにくくなる。

 自分がどうありたいかを明確にイメージしよう。そこを基軸にして自分の立場を考えよう。自由が欲しい人、自由を有効に活用できる人なら、正社員をやるより派遣やフリーランスの方が向いている。ただ、自分で考えない人であれば、正社員をやろうが派遣をやろうが大差は無い。いいように使われて終わる。

 正社員か派遣かではなく、本当にかわいそうなのは思考を放棄した人だ。この激動の時代、残念ながらそういう人に未来は無いと思う。その場は悠々と過ごせるかもしれないが、変化に巻き込まれた時、流されるしかなくなる。

 個人的には、派遣から発展して新しい働き方が模索されて欲しい。時給6500円の女性エンジニアのような、新しいキャリアのパターンが生まれて欲しい。半世紀前の人間の考えた正社員というパターンでしか考えられないというのもつまらなくないか?派遣は「かわいそう」ではなく、新しい働き方を切り開くフロンティアであって欲しい。

Comment(8)

コメント

nsh1960

どっちがいいと短絡的にきめつけると間違った結論になるけど、
期末手当(いわゆる賞与)とか定期昇給(いわゆるベア)があたりまえの人から見るのと別世界から見るのとでは見えるものも違ってくるのが当然でしょうね。
両方経験している人と一方だけの人でどっちの満足度が高いかというと現実には派遣の満足度が同等またはより高い、とは必ずしもならないかもしれないけど、あるライフステージとか年代に限れば派遣の方が有利な条件ということはありうること。

なかじー

横文字を多用するIT会社でも正社員、派遣に対する考えは古いですね。派遣面接で年齢を聞かれました。

職種に就職するというアメリカ的な雇用体系の派遣制度が許容され、会社と運命共同体という日本的な雇用体系の正社員制度とハイブリッドで運用されていくと、雇用するほうもされる方もハッピーになれるのではないでしょうか。

派遣をやっていて、大きくデメリットに感じるのは正社員との間で仲間意識が薄いのと、休暇が欠勤と有休ぐらいしかないことでしょうか。少なくても有休がでる間隔を短くしてほしいなと思います。

どちらにせよ、新入社員以外で年齢を雇用の条件にするのはやめてほしいですね。

ksiroi

本当にかわいそうなのは「全力で働かない人」だと思うなー。
雇用形態によらず、仕事に全力投球しない・出来ない人が須らく哀れじゃなかろか
望む、望まないに関わらず。

当人が自身をかわいそうと思うか否か、で努力の方向性決定も決まるよね。
可哀想か否か、なんてそもそも客観視して観測できるもんでもない気がしてきた。

pepper

どっちが良い悪いでなく、望んでいないのに派遣になった人。
派遣に派遣のメリットがあるでしょうが、そうでない人が多いのが問題。
自分も実質、その一人。
その派遣も年齢で厳しいと言われているが、それもまた、別の話。

フリーランスと言える派遣なんて0.1%もいねえよ
ほとんどの人は正社員に慣れなくてしょうがなくやってるんだよ

そして最大のデメリットは歳をとるにつれて仕事が無くなるってことなんだよ
それはどんなメリットにも勝るデメリットだと思うけどね

k

年取って派遣にしかなれない技量しか持っていないのなら
別の職種を探したほうがよいと思うけどなぁ
居座られても困るだけだよ…

ren

あの「時給6500円」さんの話って、とどのつまり
「前世紀にそういう派遣ITエンジニアに幸せな時代が一瞬だけあった」
っていう今は昔~みたいなおとぎ話でしょ?
ITバブル東京で局所的に起こったハイエンドの話を一般論にして「新しいキャリア」とか言ってほしくないですね。
むしろ「もう終わった、今となっては手の届かない過去の栄光」じゃないですかアレ。
あの人と同じキャリアパス描ける人なんてもう存在しないし、同じ能力があっても年収は半分ですよ。

みるぽ

時給6500円を一般論として論じるのは、そもそもかなり無理があるのでは?(芸能人を一般人と同列に語るようなもの)
正社員の精神的な自由度が無いってのも滑稽な気がします。
エンジニアとして思考力が萎縮するって、それ社風の問題なのでは?
本来は圧倒的に安定した雇用や立場ですから、むしろ派遣の人間のようにやらされている感と比較してどうなのよと思います。

両方を経験した立場から言うと、そもそも正社員よりも能力があろうが、正社員よりも報酬は低いし、雇用する側の会社の経営がヤバくなると、真っ先に首を切られるワケですよ。
そもそも前提として、一時的な雇用なのだから、本来は正社員よりもドライな関係であれば、(能力が同等か上の場合は)正社員よりも給料が高くて当然なのでは?
すでに社会的に、派遣だから安くて当然という大前提はおかしくはないですか?
論理のすりかえで、あなたが選んだんでしょ?という、搾取する側の論理は、幾らなんでも正社員や株主側のエゴにしか思えませんけど。
あぁ、実力のあるIT傭兵に、きちっと報酬を与えろ!という事であれば大賛成ですが、役立たずの正社員に流動性がないのと、正社員のための組合が強過ぎるので、すべてが淀んで、実力主義ではなく目先のお金をひねり出すために、便利な道具としての社会制度(階級)になっていますね。

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