いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

大晦日に不意打ちを食らわすように叩きつける今年の12093大ニュース

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お前は今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?

 とある吸血鬼さんの名言だ。同じように、あなたが今までみたニュースの件数を覚えているだろうか。日本全国、膨大な数の事件や事故は起きている。そんな事件や事故の中、ニュースとして私達の目に触れるのはほんのわずかだ。

 そんなことも露知らず、今日も日本は平和に見える。ニュースで見る「今年の重大事件」とか、そういうものも大半の人にとっては他人ごとだろう。STAP細胞がどうたら、青色LEDがどうたら。多分、一年後にはスッカラカンに忘れていることだろう。

■キャッチアップとブレイクダウン

 年末に騒いでは忘れ、騒いでは忘れ、これを何度繰り返してきただろうか。ここで一つの疑問がわいた。ニュースで報道されなくなった時点で、関心が途切れてしまってはいないだろうか。

 毎日流れてくるニュースのキャッチアップに精力的な人は多い。だが、一つのニュースに対してブレイクダウンするのはあまり一般的ではない。確かに、ニュースは新しい方が話題性に富む。ただし、その話題性ばかり追求されると、深い考察がなされなくなる。

 ついでに言うなら、話題性ばかり追求して考察がななされなければ、ニュースはデマに変わっていく。一つの事実でも脚色した方がセンセーショナルに見える。その方が聞いて楽しい。商業的な価値も上がる。だだし、その代償として情報の正確さは損なわれるので注意したい。

■追求された話題性の先に空洞が開いている

 ちなみに、うちの父親は新聞記者をやっていた。ニュースにキャッチアップする能力は優れていたが、一般論ばかりで話してて面白くなかった。多くのネタにキャッチアップできる方が頭が良いように思えるが、そうでもない。PCでいうなら、HDにデータを叩き込んでるだけだ。

 情報を役立つものにするには、集めた情報を自分なりに料理する必要がある。自分の経験に結びつけて考察したり、関連する情報と結びつけていくことで自分もつ話題になる。新聞やネットで見たニュースをオウム返しで話すだけでは、会話としても面白みに欠ける。

 そもそも、当事者でもない限り、基本的にニュースは他人ごとだ。それはそうだ。テレビや新聞で流れる情報は、ほんのさわりの部分だけだ。話題性の高いニュースだと、デマが多くて考察どころではない。当事者として考えようにも、情報の質が低いので想像しきれない。ものを考えるには大変な世の中になったと思う。

■なぜ年末のエンジニアライフでこの話題か

 エンジニアをやっていて、新しい技術ばかり目移りする人っていないだろうか。これって、大量のニュースに流される人に似ている。最新情報にキャッチアップすることに躍起になって、センセーショナルさに欠けるような地道な技術をないがしろにするからだ。

 人間の脳みそは、瞬時で情報を整理、解析できるほど性能は良くない。ソフトウェア的にも、センセーショナルというフラグが立つだけで、大量のエラーや遅延を叩き出す。だからこそ、上手に使うための心がけが必要だ。

 年末に時間のある人は、情報を入れるのをちょっとストップして、脳みそのデフラグをしてみたらどうだろうか。早い話が、モチ食って寝てろということだ。普段使いすぎた頭を休めないと、次のアクションに移せない。情報を頭に入れて放っておくだけでも、勝手に整理されるらしい。もし忘れてしまうなら、それは関心の無い情報だったということだ。

 ちなみに、12093大ニュースの件数はどこから出した何かというと、多分私のコラムを読んだであろう人の数だ。あなたが私のコラムを読む。その一つ一つが私にとっての重大ニュースだ。

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