いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

エンジニアという生物

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■生物をどう読んだだろうか

 生物と書いて何通りか読み方がある。まず、"なまもの"と読める。なまものといえば、たいがい野菜やナマ肉などの生鮮食品を指す。新鮮さが命。ほっとくとしなびたり腐ったりする。そうなったらもう"なまもの"というより腐敗物だ。

 また、"せいぶつ"と読むこともできる。せいぶつというと、ある生命体を指し、学術的な意味合で使うことが多い。ただ、あまり感情を含まない場合が多いので、可愛らしいうさぎさんを見て"せいぶつ”と言う人は少ない。この場合は一つ”き”をいれて”生き物(いきもの)”と呼ぶ。"き"が一つ入るだけで、途端に魂を感じさせる響きになる。

■エンジニアを生物に当てはめる

 この生物だが、強くエンジニアというの彷彿させる。まず、エンジニアを“なまもの”と見た場合どうだろう。エンジニアのもつスキルは、まさに“なまもの”だ。新鮮さが命で、しっかりりと育てられたもの程、価値が高い。また、何もせずに放おっておくと、スキルが枯れたり陳腐化する。まさにエンジニアとは“なまもの”と言える。

 また、“せいぶつ”と読んでも当てはまることが多い。まず、生物には必ず成長がある。成長のないエンジニアでは、既にエンジニアとは言えない。そして技術というのは進化していく。そして廃れた技術は退化していく。その様が正に“せいぶつ”を彷彿とさせる。

■採用担当者はどう見ているだろうか

 ここで一つ、エンジニアの立場から疑問が浮かんだ。エンジニアの採用担当者は、エンジニアをどのように見ているのだろうか。“なまもの”だろうか。“せいぶつ”だろうか。

 エンジニアを“なまもの”と見る採用担当者だとしたら、私は一緒に働きたくない。なぜなら、“なまもの”とは食べものを指す言葉だからだ。一緒に働くと、食いものにされてえらくしんどい思いをして終わるだろう。

 “せいぶつ”と考えている採用担当者とは、深く関わることを避けたい。一つ大事なものが欠けているからだ。この一つ大事なもの。これを私は採用担当者に求めたい。

■欠けている大事なもの

 エンジニアを生物と見て、決定的に欠けてしまうもの。それは、“き”が付いていない。ということだ。エンジニアはほっとけば腐る生物(ナマモノ)でもない。餌をやってればただ育つ、そんな生物(せいぶつ)でもない。きちんと心をもった生き物だからだ。

 単に実力があるか、どういう経歴か、そういうデータばかりに翻弄されると、エンジニアが一人の人間であることに気が付かなくなるのだ。心というのは、爆発的な成果を上げるきっかけにもなれば、破壊的な失敗の引き金にもなる。どのような人間かは見極める必要がある。

 採用担当者が、エンジニアを一人の人間として見ているか。そこに“き”が付くこと、“き”を付けること。これが最良の結果に結びつけるための気付きだと思う。

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